ハロウィンの熱気が過ぎ去ったせいか、急に冷え込みますね。坂本です。
今日は「古典の日」らしいですよ(※古典の日公式ホームページ)。知ってた?
ということで、音楽の古典といえばこの人、J. S. バッハの作品の録音のなかから、いくつか面白いものをピックアップしたいと思います!
(※ここでいう「古典」は「古典派」とは異なります、念のため)
まずはこちら。今年発売されたばかりの、コンソート・ブルイアミーニというリコーダー五重奏団の作品。
Bach: Flûtes en Fugue / Consort Brouillamini
「平均律」から鍵盤協奏曲まで、バッハの名曲をリコーダー五重奏で演奏したものです。
(なんとチャレンジングな…と思ったあなた、僕もこんな試みをしています、足元にも及びませんが!)
単に「リコーダーで演奏してみました」というのに留まらず、音楽的にもしっかり聴かせてくれてなかなか面白い作品だと思いました。
チューニング的にも、ダメじゃないほうの絶対音感がある人でも違和感なく聴けると思います(移調されているものはあります)。
バッハの名曲をオリジナルと違う楽器で演奏する試みとなれば、これを挙げないわけにはいけません。
Johann Sebastian BACH : 3 SUITES (BWV1007-1009) / 岩川光
Webで全曲視聴できます。
岩川さんといえば、キケ・シネシとのデュオ等のイメージがある方もおられるかとは思いますが、バロック音楽においても非常にインパクトのある存在であられます。
管楽器でこの曲を演奏した例としては、僕はオーレル・ニコレの録音が真っ先に思い出されます。
フルートは息継ぎをしなければならないため、弦楽器の曲を演奏しようとすると、どうしてもフレーズを途中で切らなければならない場面があります。
ニコレは循環呼吸でこれをクリアしていますし、僕自身も安易にその手段を取ってしまうのですが、岩川さんは非常に音楽的なブレスをすることで逆に弦楽器ではできない、管楽器ならではの表現に到達しているですよね…マジですごい。
昨年の岩川さんの演奏会ではこの「無伴奏チェロ組曲」のほか、「無伴奏フルートのためのパルティータ」の演奏も聴くことができました。こちらは音源化されていないのですが、機会があれば是非一度聴いてみることをお勧めします。
続いては、エマーソン弦楽四重奏団による「フーガの技法」。
Bach: The Art of Fugue / Emerson String Quartet
泣く子も黙る大曲「フーガの技法」。分厚い専門書のような邦タイトル、未完成に終わったというエピソード、楽器指定すらない抽象性溢れる譜面、そして単純に長いし曲が多い……どの曲もなんか同じようなフレーズで始まる……
などの理由からつい敬遠されがち(じゃないと良いけど)なのですが、この演奏は結構すっと入ってくるかと思います。
良い意味で現代的というか、今の感覚で聴いてしっくりくるというか(といっても2003年の録音ですが)。
異なる楽器同士のアンサンブルなので、ピアノやオルガンによる演奏よりも各パートが聞き分けやすいのも良いですね。
「フーガの技法」は最初のモチーフ(D-A-F-D-C#-D-E-F…)が色んな形に変形され(移調やリズムの変化はもちろん、倍の長さに拡大、半分に縮小、反行など)、それが組み合わされて曲が成立していて、数学的(?)にも非常に面白い作品ですので、興味のある方は譜面も見てみると良いと思います。
さて、今日はなんと現代フルートの父、マルセル・モイーズの命日でもあるそうです(まだまだ続くよ)。
ということで、フルートのCDも一枚挙げておきましょう!
Bach: Complete Flute Sonatas / Emmanuel Pahud
フルートといえばやはりこの人ですかね、エマニュエル・パユ。
フルーティストって、どんな曲に対しても同じようなスタイルで演奏する人が多くて、曲にハマればすごくかっこいいんだけれど、合わないとちょっと…となることもあるんですよね。
パユも色々な時代やジャンルを演奏する奏者ですが、対象ごとにスタイルも変えてくる、全方位弱点無しのプレイヤーですね。
ただこれは、現代の楽器でどこまでバロックらしく出来るかという「縛りプレイ」の印象も少し受けるのですが、それはそれでとてもクールな演奏で好きです。
バッハの録音は少し古いものですが、2013年のこれに収録されているヘンデルのソナタでは、さらに洗練された演奏が聴くことができます。
最後に、バッハではありませんが、衝撃的なヘンデルのフルートソナタを。
Händel: Recorder Sonatas / Michala Petri, Keith Jarrett
装飾音合戦がヒートアップして物凄いことに……中学生のとき、初めてこれを聴いた際に受けた衝撃は忘れられません。
ところで、キース・ジャレットの演奏を初めて耳にしたのはこの音源なのですが、彼をチェンバロで知る、というのは結構珍しいかもしれませんね。
古典とされる曲にはやはり古典たる良さがありますし、それを現代において演奏家はどう提示してくるのか、というのも面白いですね。
ちょいと長くなりました、ブログも頭髪も長さはほどほどに。皆さまの「古典の日」を少しばかり彩れたら幸いです。
おっと、未来が俺を呼んでいる。それでは!