オンド・マルトノについての対話

お久しぶりです。ハサンこと高橋です。……このブログでは初めましてですかね。

ということからもお察しのとおり、僕はまあいわゆる筆無精というやつでして、たまに書きたいなと思うことがあっても、文章をああでもないこうでもないと弄くり回しているうちにズルズルと機を逸してしまいます。
ところで、普段の融解建築のバンド内でのやりとりはSlackで行われているのですが、僕はそこでは割と書き込むのですね。どうも僕は、話題があって的が絞られていればそれに返答したりかぶせていったりは出来るけど、何も無い状態からまとめるのはかなり苦手のようです(「あれもこれも」となってしまう)。居酒屋放談みたいな回路しか無いんでしょう。
なので、ブログも対話篇みたいな感じだと良いのかもと思い、かといって古の哲人のように自ら対話形式で著すほどの器量は無いので、Slack上で実際にあったやりとりをそのまま対話として載せてしまう、というのを試してみることにしました。面白いかは判りませんが、とりあえずお付き合いを。

前置き終わり。
さて、先日11日に陰陽で、表現太郎トリックモンドのワンマンライブを観てきました。そこに、オンド・マルトノ奏者の和田大樹さんがゲスト参加されていて(正確にはその時弾いていた楽器はオンド・マルトノそのものではなく、日本のメーカーが近年限定販売したondomoという可搬性に優れた楽器です)、演奏が素晴らしいのは勿論、終演後に丁寧に解説してくれたりあまつさえ楽器を触らせてくれたりして、とても貴重な体験をさせて頂きました。
で、それに端を発してSlack上で駄弁っているのが以下。登場人物は、ハサン、坂本、そして最後に一瞬だけ秋田です。

ハサン:
因みに、オンド・マルトノの魅力を知るには、このアルバムがオススメです。Spotifyにもありますし、気に入ってもっと深く音色を堪能したくなったらCDを買っても良いと思います。
因みに、この曲の超貴重な生演奏(オンド・マルトノ六重奏!)を、僕は昨年浜松で観ました
六重奏でなくとも、もし生で観る機会があれば逃さないほうが良いです。あんなイカした楽器はそうそう無いので。

坂本:
これめっちゃかっこいいですね!ポルタメントしまくるみたいなイメージがあったので、こんなに粒立ったフレーズは新鮮でした。
ていうかこれ、編曲じゃなくてオリジナルの編成なんですね。さすがメシアン…

ハサン:
音色も考え抜かれていて、同じ楽器6台とは思えないほど色彩的だし、フレーズも和声も魅力的だし、普遍性と独自性(僕のテーマ)に溢れた名曲だと思います。
演奏機会が少ないのだけが残念(当然と言えば当然ですが)。

坂本:
一聴しただけなのでどの部分か忘れてしまいましたが、キラキラした効果音みたいな音色を使っていて、驚きました。
あ、でもこの録音は4台なんですね。

ハサン:
いや、6人ですよ。このアンサンブルのメンバーは4人ですが、ゲストを2人呼んだみたいです。
スコアもあって、高いけど欲しい…。

坂本:
ああ、ラヴェルの曲の「(arr. for 4 ondes martenot)」がアルバム全部にかかっているんだと勘違いしてました…

ハサン:
因みにCDには、6人が輪(というか六角形)になって演奏している写真が載っています。レギュラー4人は全員女性、ゲストも1人はやはり女性です。

坂本:
これですかね。生演奏もこの配置だったとか…?

ハサン:
そうですこれです。
ただ、去年僕が浜松で観た生演奏は、真っ当に全員が客席を向いてました。
「全員が客席を向いて」いたというのはまあ全員が真っ正面ではなく、室内楽でオーソドックスな「客席を向い」た配置のことで、実際は半弧状というかまあセンター向きっぽくはなっていましたよ、一応。

坂本:
なるほど、譜面で指定されてるとかだと面白いなあと思ったのです。二巡目してますが、これは生で聴くしかないですね…

ハサン:
僕も是非また観たいので、次は30年待たなくても済むことを望んでます!
写真上がってた

坂本:
ものすごい光景…「室内楽でオーソドックスな「客席を向い」た配置」じゃねえ…
ていうか日本に6人も奏者いるんですね…

ハサン:
まあ、鍵盤楽器が6台というのが、「室内楽でオーソドックス」ではないので……。
奏者は思ったよりいるみたいですよ。圧倒的に多いのは仏語圏でしょうが(件のアンサンブルもMontrealですね)。
なお、オンドマルトノの特性上、奏者がどっちを向いているか、本体(鍵盤)がどっちを向いているかは音場にはあまり関係が無く、重要なのは複数のスピーカーが何処に配置されているかだと思うので、実際には車座で演奏しても問題無いはずで、「客席を向いて」いたのはおそらく見栄えの問題でしょうね。

坂本:
写真で見る限り、スピーカーは客席に対して平行に真正面を向いていますね。これを「室内楽でオーソドックス」な形に並べても良さそうなものですが。奏者と鍵盤が真正面を向いて並んでいるのも、クラフトワークみたいでカッコ良さそう…とにかく本当にナイスな楽器ですね。

ハサン:
いや、スピーカーは楽器1台につき何発もあるので、実はステージの奥とかにも配置されています。
確かに全員真っ正面スタイルはかっこいいですが、クラフトワークと違ってちゃんと自力で演奏しないといけないので、アイコンタクトの取れない配置は厳しいのでしょう。六重奏ともなると、スピーカー配置によっては自分の音か人の音かごっちゃになりそう…。
ともかくナイスな楽器です。黎明期の電子楽器としてはテルミンのほうが知名度はありますが、音楽的にはこっちのほうが圧倒的にポテンシャルが高いですね。
因みに、更にマイナーな初期電子楽器として、トラウトニウムというのもあります。これも面白い。

坂本:
なるほど、そういえばそうでしたね。アイコンタクトは浜松の演奏会の配置でも若干無理がありそうですが…
トラウトニウム、初めて聞きました。日本語wikiがない程度にはマイナーっぽいですね…同時に二音鳴らせるのか。
ヒンデミットの作品が良さげですし、とりあえず聴いてみます。

ハサン:
そうですね、楽曲としてはヒンデミットの作品が最も有名(とはいえマイナーですが相対的に)だと思います。あとはゲンツマーとか。
ただ、実は最も有名なのは、ヒッチコックの『鳥』ですね。

トラウトニウムは、非常に『ドイツ的』な音がします。所謂ジャーマンテクノ(クラフトワークやタンジェリンドリームから、マウスオンマーズやトーマスシューマッハーまで)は、この路線を脈々と受け継いでいるんだなあと。
オンドマルトノが『フランス的』(≒色彩的)なのと対照的です。

トラウトニウムらしさでいうなら、これがオススメ(ヒンデミットのは『ちゃんとした曲』になっちゃってるので物足りない…)。
特にTR.6~9『電子楽器のための舞踊組曲』なんて、「ドイツドイツジャーマン!」って感じでサイコーです。(一応捕捉しておくと内容は関係無いです)

秋田:
超兄貴、メサイヤ名義で本題(メシアン)とうっすら繋がるのが笑える…。

以上、如何でしたか?
リンクを付け替え/付け足したり、一部不必要な部分を割愛したりしましたが、基本的には実際のやりとりそのままです。

この対話方式が好評なら、幸い(?)融解建築のSlackは本来の目的であるバンド運営の話よりも雑談が多いので、今後もちょいちょい載せていきたいと思います。
また、リンクをどう表示するか迷い、読みやすさ優先で本文に挿入したのですが、タイトルリンクや埋め込みのほうが良い等の御希望がありましたら、その旨を寄せてくだされば検討します。

ではまた。

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